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【武田製薬 M&A ②】

2019.02.09

 前回ブログで話した内容のポイントは、「R&D」とは研究開発(けんきゅうかいはつ、英語: Research and Development)

 

 今回話したいポイントは、「攻める姿勢」だ。武田製薬とは、言わずと知れた製薬メーカーの老舗であり、日本No.1と同時に、世界でも16番目のメガ企業だ。創業は1781年、200年以上の歴史を持つ、正真正銘の名門企業である。

 

 そんな武田製薬が上を目指すことに対して、創業家を含めたOBや株主、更には各界から反対意見は多数あるようだ。当然日本純血で進めたい思いや、拡大路線に対するリスクを危惧するからであろう。何故ならば、今回の買収額は7兆円。更にはシャイアーが抱える1兆5,000億円の負債も引き継ぐ契約内容であり、日本国内過去最大金額であるが故、当然反対勢力は鼻息荒いようだ。

 

 これにより、武田製薬は世界第9位に躍進するらしい。しかしシャイアーは本来武田製薬より売り上げ規模が大きな企業である。そう、小が大を飲み込むM&Aということだから、まるで映画やドラマの世界。

 

 反対多数の中、このシャイアーを飲み込むM&Aの先陣を切っているのは、フランス人社長クリストフ・ウェバー氏だ。いわゆる外部から来たプロ経営者であり、公表しているなんと年収は約10億円。外国人経営者だな~っという印象。

 

 まあ彼の年収が高いかどうかは、またの機会ということで、今回はこの「攻める姿勢」がポイントである。

 当然のごとく、この買収がリスクが高いものであることは疑いの余地もない。外野になればなるほど、あーでもないこーでもないと無責任なコメントを吐く。しかし彼は、この8兆5000億円という途方のない数字に、「価値」があると算段したから攻めたのであろう。

 

 この場合、「リスク」とは二通ある。

「攻めるリスク」 vs 「攻めないリスク」

 

 人はこの比較対象を持って論議をしないから、一方通行の意見ばかりでおかしな理屈がうまれる。わかりやすく言うと、下記の理屈だ。

 

「攻めて失敗する確率」 vs 「攻めないで失敗する確率」

 

 ビジネスとは、正解というか100%という絶対的な数字は無い。攻めても失敗するかもしれないし、攻めなくても失敗するかもしれない。経営者とは、この確率の低い方を選択するのが当然であり今回のウェバー氏は前者を選択したということであろう。

 

 高度成長期を迎える発展途上国であれば、攻めないでも躍進出来る可能性は高い。しかし成熟した社会、そして日本のように確実に人口が減ると分かっている国、即ちマーケットが縮小すると思われている国でのビジネスは、リスクを取らない限り必ず衰退するのは小学生でもわかる理屈だろう。

 

 世界は空前の好景気を迎えている。これをチャンスと捉えるかどうかはそれぞれの考え方だが、逆に言えば、今攻めなくていつ攻めるんだろうと考える時が来ていると感じる。

 

 武田製薬の攻めることを批判するのであれば、武田製薬が攻めなかったときのリスクも持ち出して議論するのが、あるべき姿ではないだろうか。

 

 もちろんその答えは現時点で誰も分からない。しかしビジネスは結果が全てであるということは、誰でも分かっていることだから。何を言おうがビジネスの世界で失敗した者は、ビジネスの世界では敗者であるから。特に倒産が絶対に許されない日本社会では尚更だ。